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Dictionary

た行

耐酸性 酸に対する抵抗性。プラーク深部などでは、酸産生菌の産生する酸により酸性環境に陥りやすいため、酸性環境下でも生息可能な耐酸性菌が優勢になる。う蝕の発症や進行に関与しているとされるミュータンスレンサ球菌やラクトバシラス菌はともに耐酸性菌である。 関連→プラークミュータンスレンサ球菌ラクトバシラス菌
耐磨耗性 歯科材料の機械的性質のうちのひとつで、おもに歯ブラシなどの摩擦に対する抵抗性、刃物などにより引っかき硬さ、または材料に圧痕をつけるときの抵抗性などで評価する。
ダウンサイジング 歯科医療のダウンサイジングとして、具体的には切削歯質、窩洞、病原性細菌、患者さん自身の痛みや苦痛、また修復材料のダウンサイジングといったところから、最終的に歯の延命をめざすというもので、日野浦によって実践・紹介されている。これは、MI:最小の侵襲の概念に非常に近いものであり、MIを実践するにあたっても重要なポイントでもある。
唾液 口腔内に存在する耳下腺、顎下線、舌下線などの大唾液腺、また口唇、口蓋、舌下などに多数存在する小唾液腺から分泌される液体。分泌量は、一日におよそ1リットルから1.5リットル前後で個人差があり、その分泌速度は飲食や睡眠などさまざまな条件で経時的に変化する。唾液は、機械的刺激や咀嚼、味覚刺激などにより反射的に分泌されるが、刺激がなくても常に少量の分泌がされている。前者を刺激唾液、後者を安静時唾液と呼ぶ。唾液には、さらっとした漿液性のものと粘液性のものとに分けられ、これには粘液性細胞で合成されたムチン(糖タンパクの一種)の含有量と関連している。その他、無機成分や酵素、抗菌物質や免疫抗体といった有機成分などさまざまな成分が含まれ、消化液としてだけではなく、緩衝作用や抗菌作用、歯の再石灰化作用などさまざまな作用により、口腔の健康に大きく関与している。 関連→唾液腺咀嚼緩衝希釈・洗浄抗菌物質再石灰化糖タンパク免疫グロブリン
唾液腺 口腔内に存在する腺組織。大きなものとしては、左右の耳の前下方にあり、上顎大臼歯部の頬部乳頭部に開口している耳下腺、舌下方には舌下腺、下顎骨下方には顎下腺があり、ともに舌下乳頭部に導管が開口している。この3つを総称して3大唾液腺と呼んでいる。その他、舌辺縁、舌根、口蓋、頬などの粘膜にはたくさんの小唾液腺が存在する。唾液腺細胞には、漿液性のものと粘液性のものがあり、おもに耳下腺は漿液腺、舌下腺および顎下腺は両者の混在する混合腺、その他の小唾液腺は粘液性であり、それらの性質の違いにより分泌された唾液の性質も異なる。これら唾液腺からの分泌液を総称して混合唾液と呼んでいる。 関連→唾液咀嚼緩衝希釈・洗浄抗菌物質再石灰化糖タンパク免疫グロブリン
脱灰 不溶性である歯質(ハイドロキシアパタイト)が酸などによって可溶化され、イオンとなって消失することをいう。唾液中のカルシウムイオンとリン酸イオンは歯質のハイドロキシアパタイトと平衡関係を保つことにより歯を保護しており、全唾液中の両イオンの濃度積はハイドロキシアパタイトより大きいので通常は脱灰はおきないが、酸性環境になると(水素イオン:H+が増える)、飽和度を保つためにカルシウムイオンとリン酸イオンが溶出されることにより、脱灰がおこる。  関連→ハイドロキシアパタイト再石灰化
探針 口腔内診査用の手用器具。エキスプローラーともいう。う窩の深さ、大きさ、根管の状態や歯肉の状態などを診査するために用いる。しかし、初期う蝕の診査においては、先端の鋭利な短針の使用が歯質に対して破壊的であることが指摘されており、その有用性とともに議論されている。それを受け、日本口腔衛生学会では、初期う蝕診断における短針の意義に関する作業検討部会が構成され、2000年にその報告がなされた。その中では、原則的に先端の鋭利な短針の使用をしない視診法を推奨し、先端の鋭利な短針の使用は、フィッシャーシーラントや保存修復処置に先行する行為としての限定使用にとどめる、としている。集団検診などにおいても先端の鋭利な短針の使用は避け、視診法を中心として、う蝕の確認が必要な際は先端が球状になったWHO推奨のCPIプローブの使用を推奨している。現在では、う蝕検知液やレーザー蛍光強度診査など、触診以外にも有効な診断法が開発され、その有用性に期待されている。 
中和 酸とアルカリ(塩基)が反応し、中性になること。口腔内は通常pH6.8前後でほぼ中性であるが、飲食するたびに酸産生菌の産生する酸によって口腔環境は酸性になり、唾液の緩衝作用などによって中和されたりと非常に変動的である。 関連→緩衝
三大栄養素の一つで、主としてエネルギー源として利用される。主に、単糖類、二糖類、多糖類の3つに分けられ、単糖類としては、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、二糖類として、ブドウ糖と果糖で構成されるショ糖(スクロース)、ブドウ糖2つで構成される麦芽糖(マルトース)、ブドウ糖とガラクトースで構成される乳糖(ラクトース)、多糖類としては、ブドウ糖が多数結合したデンプンやグリコーゲンなどがある。糖質はヒト生体のエネルギー源であるが、口腔内細菌の栄養源でもあり、糖質から酸を代謝して作用した結果、起こる疾患がう蝕である。中でも、ショ糖はプラーク(バイオフィルム)形成の基質ともなる。 関連→ショ糖う蝕不溶性グルカンプラーク
糖タンパク グリコプロテインともいい、糖とタンパク質からなる物質の総称。生体に広く存在し、唾液や胃液などの分泌液にも多く含まれている。特にムチンと呼ばれる粘液性グリコプロテインは、粘膜の防護・潤滑作用に大きく関与しており、口腔内においても重要な役割を果たしている。また、唾液中の糖タンパクが選択的にハイドロキシアパタイトに吸着する結果、ペリクルが形成される。ペリクルは、歯質の保護作用、及び初期脱灰で生じたカルシウムやリン酸イオンの拡散を防ぎ、再石灰化の促進作用などがある反面、細菌の初期付着の足がかりともなる。 関連→唾液ペリクル再石灰化プラーク