QOL向上のために歯科医療にできること:MI21.net

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予防の3相と3つのアプローチ

それでは、Leavell & Clark の予防の3相にあわせ、ジーシーの提案するMIコンセプトの『診断』『処置・管理』『予防』の3つのアプローチから考えてみましょう。

予防の3相と3つのアプローチ

第1次予防としてのMI

発症前に行なうべきケアには大きな違いはありません。
しかし、口腔疾患が何もなくても、歯並びや個人スキル、健康への意識、さらに将来罹患しやすいと予測される疾患などは個人によって異なるので、そのケアの具体的な手段は異なるでしょう。そのため、口腔状態の診査診断は健康な人(Public)にこそ必要です。2003年に施行された『健康増進法』でも第1次予防的な健康診断に重点を置いています。
健康状態の診断という意味でも、第1次予防の「診断:Identify」は重要です。
そして「診断:Identify」定期的な健診( 注:検診ではない)によって口腔の健康状態をチェックし、口腔の状況を把握し、将来なり得る疾患を『予防:Prevention」するために、個人個人に合わせたセルフケアの手段を歯科医師や歯科衛生士が提案し、自発的なセルフケアに導くための健康教育と適切なプロフェッショナルケアを定期的に行なうことで生涯にわたる健康の維持「管理:Control」を行なうことを目的としています。
だんだんと一方向に進行していくのを阻止(予防)するというLeavell & Clark の予防概念と少々異なる点は、器質的に歯を失い機能不全の状態になるところをエンドポイントとせず、仮に歯を失っても患者の望む形での機能の回復、それによるQOL の向上をめざし器質的な面でもQOLの面から見ても『健康』な状態に戻しその『健康』を維持していくことを目指します。

第2次予防・第3次予防としてのMI

発症後はその患者(Patient)の抱える疾患、そして悩みに対して正確に「診断:Identify」し、なおかつ患者のニーズを聴きだしその中で最小限の侵襲で行える「処置:Treatment」を提案し、患者と一緒に治療プログラムを構築していきます。
その後は、メインテナンスにより適切に「管理:Control」、またあわせて「予防:Prevention」処置や健康教育を行うことで患者(Patient)から健康な人(Public)へと導いていくことを目指していきます。
『健康』とは、その人にとって『健康』な状態であり、すでに歯がない状況で来院した患者でも良好な義歯やインプラントといった患者の状態とニーズに合わせた手法で「機能を回復」でき、かつ患者の立場に立った健康教育により自発的なセルフケアを促し口腔を清潔に保つこと、それが口腔だけでなく全身的な健康へ、そしてQOL の向上へとつながっていきます。
どのような状況で来院されても、その人にとっての一番『健康』な状態まで導いていく、それが歯科医療従事者の重要な役割ではないでしょうか。

Patient → Public

今後、主訴となる疾患や問題を持たなくても、健康な方々が自発的に歯科医院に訪れることが増えていくことを願ってやみませんが、現在では歯科医院を訪れるのは、何らかの問題を抱えた患者(Patient)が多いでしょう。
患者(Patient)に対するMIプログラムの(1)診断:Identify(2)処置・管理:Treatment&Control(3)予防:Preventionの具体的な3つのアプローチは、初めてMI コンセプトを提唱した2000年当時から変わりません。
処置(Treatment)後は、適切な管理(Control)によって継続的にプロフェッショナルケアやメインテナンス、健康指導を行ない、最終的には健康な人々に対する第1次予防としてのMIの3つのアプローチのサイクルへと移行していきます。

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