QOL向上のために歯科医療にできること:MI21.net

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ヘルスプロモーションとは

1986年にカナダのオタワで開かれた第1回ヘルスプロモーション国際会議においてヘルスプロモーションの定義、その実現手段が『オタワ憲章』の中で提唱されました。

  • 【ヘルスプロモーション】
  • ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセスである。
    身体的、精神的、社会的に健全な状態に到達するには個人や集団が望みを明確にし、それを実現してニーズを満たし、環境を変え、それらにうまく対処していくことができなければならない。従って健康とは毎日の生活のための資源と見なされるものであって、人生の目的とはならない。健康とは身体的能力だけでなく、社会的、個人的な面での資源という点を重視した前向きな考え方である。
    そのためヘルスプロモーションとは、ただ保健医療機関に求められる責務というよりは、健康的なライフスタイルをさらに超えて幸福(well-being) にまで及ぶものである。

ヘルスプロモーションの概念の中では『健康』は、理想的な目標というよりQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持、向上するための資源であると考えて良いでしょう。
そしてこのオタワ憲章では、ヘルスプロモーションのための3つの戦略とその意図するものとして5つの優先的行動分野を示しています。それらは21世紀を迎えてもなお、ヘルスプロモーション施策の礎となっています。

1986 年 オタワ憲章

21 世紀に向けたヘルスプロモーション

1997 年 ジャカルタ宣言

オタワ憲章からすでに20 年が経ち、ここで掲げられた5つの優先課題のうち『健康公共政策の確立』『健康に関する支援環境の創造』『健康のための地域活動の強化』については、日本でもその概念を礎に『健康日本21』や『健康増進法』の施行など国家的な政策から行政での施策などさまざまな展開が行なわれています。『個人技術(スキル)の向上』は、メディアなどの普及によって情報は溢れていますが、はたしてその多すぎる情報から健康的な選択を行なうスキルは国民に普及したのでしょうか。
個人のスキルを向上させ健康に導いていくのは、国家や行政よりもっと個人に身近な病院や歯科医院、そして市町村レベルのコミュニティなど保健医療サービスに直接携わる従事者の役割ではないでしょうか。だからこそ、優先課題の一番最後に『保健医療サービスの方向転換』が挙げられているのでしょう。この考え方はMI コンセプトにも共通するものです。
その後、1997年に行われたWHOヘルスプロモーション会議では21世紀に向けた先導的ヘルスプロモーションに関する『ジャカルタ宣言』として21世紀以降の健康増進上の課題と方向性を明らかにしました。
そこでは健康開発には包括的なアプローチが最も効果的であり、活動の場(歯科医院等医療機関や地域、職場など)での持続には、人々の参加が不可欠であり、人々がヘルスプロモーションの行動や意思決定プロセスの中心にいるべきことが非常に効果的であること、そして健康学習・ヘルスリテラシー(健康認識面でのスキル、意欲、能力等)がその参加や人々やコミュニティのエンパワーメント(選択する権利)を得るのに不可欠であることには、すでに明確なエビデンスがあるとしています。そしてジャカルタ宣言では、さらに新しい5つの優先課題を掲げています。

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